2016/07/05

『修羅の宴』楡周平 感想

修羅の宴
修羅の宴
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楡 周平
講談社
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とある企業の発展から破綻までを描いた経済小説。

題材となっているのはイトマン事件。
この事件が起こった当時、自分はまだ子供でしたが、
それでもうっすらとイトマンの名前を覚えているということは
それだけ大きな事件だったと言うことでしょう。

物語は高卒でありながら一流銀行の役員まで上り詰めた滝本が
破産寸前の一流企業の社長として出向するところから始まります。
厳しいノルマ主義によって会社を立て直した滝本ですが、
厳し過ぎるノルマを達成するため社内では粉飾が横行し、
やがては滝本自身も邪道に手を染めることに…。
最後にかつて自らが行った手法で社長を解任されたのは
自業自得とはいえやるせなさを感じます。

この小説で一貫して描かれているのが
滝本の高卒という学歴に対するコンプレックスであり、
自社を傾かせるまで暴走したのも高卒であるが故に
結果主義にこだわり過ぎたというのが結論。
高卒では銀行の社長になれないというのは今でも同じですし、
こういう鬱屈が解消される日は来ないのではないか。

しかし一流銀行の上層部が裏社会と繋がりのある
胡散臭い人物にコロッと騙されたのは解せないですね。
ちょこっと調べてみるとこの辺りの人間関係は
小説に書かれていた以上に複雑だったようですし、
関わった人全てに深いドラマがありそう。
今でも迂闊に調べようとすると消されそうな怖さがありますね。

イトマン事件については現実の方が面白そうですし、
詳しく知っている人には物足りない小説かもしれませんが、
入門編としては分かりやすくて手を出しやすい作品だと思います。

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