2016/05/11

『クズリ』柴田哲孝 感想

クズリ
クズリ
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柴田 哲孝
講談社
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かつて「クズリ」の名で恐れられた暗殺者の後継者が
横浜を舞台に死闘を繰り広げるアクションハードボイルド小説。
自分はクズリという生き物について知らなかったのですが、
調べてみると小さい割にかなり凶暴な生物なんですね。
しかも英名はかの有名なウルヴァリンとのこと。
また余計な知識が一つ増えました。

一方で本編の内容はというと、主人公である
2代目クズリの性格が淡々としていることもあって、
物語の方も最初から最後まで平坦な印象を受けました。
敵である中国人暗殺者や漁夫の利を狙う警察官たち、
その他の脇役にしても衝動的に生きているだけでしたし。

ただ、個人的にはこの平坦さは嫌いではなく、
クズリの壊れた人格を一貫して表しているような気もします。
流石に愛する人が殺されたときは一瞬怒りを見せたものの、
それはそれとして冷静に依頼された仕事をこなし、
最後はケロリとして新たな生活へ踏み出す。
こういう徹底して淡白なキャラクターが好きな人なら
クズリの生き方には少し憧れるものがあるかもしれません。
途中、愛人へのガードが薄過ぎるように感じられたのですが、
最後の執着のなさを見ると納得できるような気も。

しかしクズリの過去をもう少し丁寧に描写していれば、
クズリ本人により魅力が出たようにも思えます。
他の人物も基本的に過去がほとんど書かれていなかったですし、
そこはちょっと手抜きのようにも感じられました。

殺し屋同士が殺し合うだけの話なので内容は薄めですが、
それだけに一気読みしやすいかもしれません。

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