2016/01/20

『カクメイ』新野剛志 感想

カクメイ
カクメイ
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新野 剛志
中央公論新社
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テレビ局を標的にした連続脅迫事件のお話。

最初の事件は漫才師の娘が誘拐され、
漫才師がテレビ番組でスポンサーの悪口を言わされるというもの。
その後、要求は段々エスカレートして行き、
最終的には番組の視聴率が一定以上になると人を殺すという、
人名を左右する脅迫事件へと発展していきます。

脅迫を企む犯人サイドと、それを阻止しようとする
テレビ局、警察の追跡劇はなかなか緊迫感がありました。
交通事故遺族や冤罪被害者、テレビ番組全盛期にバブル経済と、
色々な要素を詰め込んで読者を振り回す作りも面白い。
インターネットがない時代のテレビ番組の強さ、懐かしいです。

ただ、事件の仕掛けは面白かっただけに
事件の原因と犯人の結末のしょぼさが残念でした。
この事件の原因にはとある女性の死があるのですが
彼女の魅力がまったく感じられなかったのが痛いです。
作中で描写された彼女の長所は外見だけで、
性格については描写し忘れたのか疑いたくなるレベル。
彼女のことが好きだった犯人による復讐劇なのに、
その彼女が魅力ゼロだと復讐のカタルシスが激減ですよ。
まだわざとらしいぐらいいい娘な方がマシなぐらいです。

犯人の結末も唐突感が凄いです。
一応、ちょこちょこと伏線は貼られていましたけど、
本筋と関係ない終わり方をされても盛り上がれませんぜ。
ここは前述したように色々な要素を詰め込んだことが
悪い方向へ作用してしまった感があります。

新野さんの本はネタの選び方は非常に面白いんですけど、
最後でやらかしてしまうことが少なくない印象があります。
テーマを真っ直ぐ掘り下げてくれると
もう少し安心して読める作家さんになるのですが…。

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