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『霊鬼頼朝』高橋直樹 感想
霊鬼頼朝 (文春文庫)
霊鬼頼朝 (文春文庫)
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高橋 直樹
文藝春秋
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源頼朝にかかわって酷い目に会った人々の物語。

トップバッターは頼朝の息子である貞暁。
頼朝の息子といえば将軍だった頼家と実朝が有名ですが、
この貞暁は頼家と実朝の間に生まれた息子で、
出家したとはいえ将軍候補としては全く問題なし。
しかしそんな貞暁が自分の目を抉ってまで
将軍就任を拒否したのは兄や弟の無惨な末路を見たため。
目を抉るというと凄まじい覚悟ですが、
そうするに相応しい鬱々とした物語が繰り広げられます。

他の3編にしても似たような雰囲気で、
平時忠や源義経、藤原泰衡、そして最後は源実朝と、
誰も彼もが不幸な結末が約束された物語が展開されます。
結末が不幸とはいえ、それぞれが矜持を持っているので
亡びの美学が感じられるのはどの話でも共通していますね。
泰衡は無能として、実朝はお飾りとして名高いですが、
両名とも自分の出来る範囲で精一杯足掻く描写があって、
その生き様には感じさせられるものがありました。

頼朝自身の描写は僅かですが、それでも彼の中にある
歪んだ根っこのようなものは十分に感じられますね。
当時の人間としては酷いことをしたわけではないのですが、
それでも彼の生き方にによって他人だけでなく身内まで
不幸になってしまった面があるのは確かでしょう。
まあ、その後の北条のやり手っぷりを見ると
頼朝がどれだけ一族の力を固めようと
似たような結末になっていたかもしれませんが…。

テーマ:読書感想文 - ジャンル:小説・文学

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