2015/10/14

『逃走』薬丸岳  感想

逃走 (講談社文庫)
逃走 (講談社文庫)
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薬丸 岳
講談社 (2014-07-15)
売り上げランキング: 78,085

とあるラーメン屋の店主を殺してしまった犯人が、
警察から逃走しつつも自分が殺人を犯す破目になった
大きな原因である過去を探っていくサスペンス小説。

物語の核であり終盤で明かされることになる
主人公と妹、その両親に潜む謎解きは面白かったです。
半分は読めていたんですけどもう一捻りされていました。

ただ、主人公とその妹のキャラが薄過ぎたせいで
最初から最後まで盛り上がりに欠けていた感があります。
主人公が自分の過去を探るために警察から逃げる、
というのは理屈としては一応通っているのですが、
初っ端で自分の過去を知っている店主を
過失とはいえついカッとなって殺していながら、
その後は警察や妹に対して思わせぶりな証拠を残しつつ
逃走するという行動には違和感が残ります。
短気なのか計算高いのか、逃げたいのか捕まりたいのか。
なんというか、話の都合に踊らされた感が強いです。

主人公の妹や親友の行動もイマイチでした。
兄が殺人者になったと聞いて否定のは分かりますが、
それを引っ張られても読者としては面白くない。
親友や警察の動きにしてもほとんど足踏み状態で、
犯人に迫るような緊迫感は少なかったです。
妹か親友か警察のいずれかの描写に重点を置いて
主人公を追い詰める動きが出来れば良かったのですが…。
事件のギミック自体は良かったものの、
人間描写の薄さが足を引っ張ってしまった作品でした。

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