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『衆』堂場瞬一 感想
衆
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堂場 瞬一
文藝春秋
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かつて学生運動の最中に起こった高校生死亡事故の真相を
活動家から大学教授へと転向した鹿野が追っていく物語。

まず主人公である鹿野が絶妙に嫌な性格ですね。
自分たちの学生運動で怪我人や死人が出ているのに
それは殺した本人や警察の対応の責任であって
自分に直接の原因がないと堂々主張するところが凄い。
いや確かに理屈ではそうかもしれませんが、
それを正論としてあちこちでばら撒く無神経さには
読んでいてたまらないぐらい不快感を覚えました。

ただ、不快でありながらも最後まで読めたのは
鹿野が空気の読めない愚者扱いだったからでしょうね。
主人公の独善っぷりには感情移入できなかったものの、
周囲に登場する脇役には常識人が多かったため
作品へ感情移入することはそう難しくなかったです。

しかしこの結末は賛否が分かれそう。
鹿野が石を投げたことまでは分かっても
その石が高校生に当たった確証は最後まで掴めず、
鹿野も自分が殺人を犯したかもしれないと思いつつも、
証拠もなく実際に高校生を狙って投げたわけでもないので
最後までどう対応すればいいのか分からない。

この頑張ったのに明確な結果が出ず
有耶無耶なまま終わるという気持ち悪さこそ、
当時学生運動に関わった人たちが共通して持っている
不完全燃焼感に似ているものなのかもしれません。
学生も警察も一般市民も忘れたい不幸な思い出扱い。
学生運動を描いた作品は多々ありますが、
これだけ厳しい描写をする作品は珍しい気がします。
でもはっきりとした答えの出ない気持ち悪さは
嫌いではないので、自分としては楽しめる作品でした。

テーマ:読書感想文 - ジャンル:小説・文学

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