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『悪党重源―中世を創った男』高橋直樹 感想
悪党重源―中世を創った男
高橋 直樹
文藝春秋
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鎌倉時代の大仏再建を主導した怪僧・重源の物語。
東大寺の大仏といえば松永久秀に焼かれたのが有名ですが、
こちらは鎌倉時代の源平動乱で焼け落ちた際の再建です。

まず最初、大仏を再建し始めるシーンから始まるので
このまま大仏再建の物語になるのかと思いきや、
それ以降は重源が今まで歩んできた人生の話になります。

しかしこの半生が一介の僧とは思えないほど面白い。
母の敵討ちに失敗し当時の権力者であった源氏に追われ、
出家した後は南宋まで経典を取りに行かされ、
鹿ケ谷の陰謀にまで関わるという波乱万丈っぷり。
よくもここまで物語を広げられたものだと感心します。
武士が台頭する前に権力を握っていた僧の生活や
日本と南宋の関係描写は興味深かったですし、
平家の武者と延暦寺の宗徒があわや京都で激突かという
手に汗握る緊迫感あるクライマックスもお見事でした。

話のもう一つの軸が重源とその弟子の関係。
かつて自らも師匠を手にかけたことのある重源は
弟子の存在に怯えつつも、弟子を自らの半身として
自分の持つ様々な技術を伝えていくという、
愛情というには複雑過ぎる関係が感慨深い。
この二人の関係の結末も作品の大きな見どころでした。

大仏を再建した僧という印象から
地味な物語になるのかと思っていたのですが、
予想外の話の広がりを見せつつ人間描写は重めに、
しかし最後は爽快に終わってくれる快作だったと思います。

テーマ:読書感想文 - ジャンル:小説・文学

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