2015/09/07

『もう教祖しかない!』天祢涼 感想

もう教祖しかない!
もう教祖しかない!
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天祢 涼
双葉社
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高齢化社会とそこでの人の生き方を描いた社会派小説。

高齢化社会では一大利益となるセレモニー部門ですが、
その顧客を巡っての大企業と新興宗教の争いは話の焦点。
話し合いの結果、新興宗教が500人の信者を獲得すれば
企業側は宗教に協力し、500人を獲得できなければ
宗教は解散するという分かりやすい流れになっていきます。

本筋である企業VS宗教の対決もあの手この手で
根回ししたり妨害したりしてて面白いのですが、
現代社会での人間の孤独化を絡めているのも面白いです。
若者と老人、貧困層と富裕層の格差といった
身近な素材を扱っているので共感しやすいのも良い。

他の作品でも読んだ気がしますが、宗教というのは
孤独な人たちが集まる場を提供するという点では
理想的なシステムだと思うんですよね。
「宗教」というと引いてしまう人も多そうですが、
だからといって「なんとか会」みたいな名前にしても
より胡散臭くなってしまうのが日本語の難しさ。
まあ、変な勧誘やテロに走らず適度に利益を上げつつ
静かに地域に溶け込むなら問題ないでしょう。

企業と宗教の対決の裏に隠されていた真相も
なかなか考えられてて面白かったとは思うのですが、
ネタ晴らしはヒロインよりも老人にやらせた方が
テーマにあっていたような気がしなくもないです。
ヒロインのキャラがちょっと軽薄に見えて
自分としては好きになれなかったことも大きいですが。
とはいえ、現代社会に切り込んだ社会派小説としては
頷ける部分も多くて面白い小説でした。

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