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『新月譚』貫井徳郎 感想
新月譚
新月譚
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貫井 徳郎
文藝春秋
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かつて容姿も性格も地味だった女性・後藤和子が
容姿端麗な人気作家・咲良怜花へ変化していく様子を
ねっとりとした作風で描いていくサスペンス小説。
物語は中年女性になった咲良怜花が過去を語る形で進み、
彼女が筆を折る理由になった出来事までが描かれます。

話の中心になるのは作家としての生き方…ではなく、
容姿性格ともにコンプレックスの塊であった和子と、
そんな彼女を認めて愛してくれた年上の男性・木之内との
ドロドロとした恋愛関係が中心になっています。
この木之内が女性の容姿より中身を見るという長所と
複数の女性を真剣に愛することができるという短所を
併せ持っていたせいで和子の人生が狂っていくことに。

木之内の女性に対する紳士っぷりと
それを台無しにする女癖の悪さの対比は面白い。
容姿のいい女性も悪い女性も平等に扱うという点では
確かにそこらの男よりも立派かも…と思えてくる描写で、
和子が依存してしまうのも分からなくもないです。

一方の和子はというとコンプレックス満載で、
木之内を繋ぎとめるために美容整形に手を出す始末。
そして外見に拘らない木之内には効果が薄いと見るや
今度は小説家を目指し実際にデビューしてしまいます。
一見引っ込み思案に見えても男のためなら
何でもしてしまうバイタリティは恐ろしいです。
そんな彼女がついに心を折られた致命的な出来事も
予想できていたとはいえグッとくる展開でした。

そんな感じで和子が整形と作家デビューによって
咲良怜花へと変身していく流れは面白かったんですけど
過去語りが終わった後のオチは正直、微妙でした。
ラスト1ページで今までの全てをひっくり返すのかと
ドキドキしながら読み進めていたのですが…。
予想は裏切られたのは確かなんですけど、
それが期待はずれな方向だったのは残念というしかない。
過去パートの緩やかに堕ちて行きつつも
どこか居心地のいい雰囲気は最高だったんですけどね。

テーマ:読書感想文 - ジャンル:小説・文学

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