2015/03/26

『謙信の軍配者』富樫倫太郎 感想

謙信の軍配者謙信の軍配者
(2011/07)
富樫 倫太郎

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軍配者シリーズの3作目にして完結編。

タイトルこそ謙信の軍配者となっているものの、
実際に主人公だったのは山本勘助でしたね。
確かに謙信サイドの描写は増えているものの、
信玄サイドの描写も同じぐらいありましたし。
また、謙信が戦の天才だけあって彼の軍配者である
冬之助の活躍が少なかったのもちょっと残念でした。

とはいえ、一つの物語としては面白かったです。
向かうところ敵なしだった名君・信玄と名軍師・勘助。
しかしその前に突如立ちふさがったのが天才・謙信。
知略を尽くして負けない戦を得意とする信玄と
天性の閃きによる攻めの戦を得意とする謙信の戦いは
史実の流れを知っていても緊迫感がありました。

謙信という人物の描写も面白い。
君主として成長していく信玄とは逆に
いつまで経っても子供のように感情的で理屈が通じず、
己の中の正義に任せて暴走するその姿は
イライラさせられつつもどこか魅力的に見えます。
振り回される方としては大変ですけどね。

物議を醸しているキツツキ戦法に関しては
正面決戦を避けたい信玄と決戦に逸る重臣たちの間で
苦し紛れの折衷案を取った結果という解釈。
冷静に考えると無理のある戦術ではあるのですが
無理無謀が普通に起こるのが現実なわけで、
これについては戦国のミステリーの一つでしょう。
ただ、この戦法の雑さに勘助の老いを見た
冬之助の描写が良かったので自分としては満足です。

とりあえず2作目、3作目を読んだので
次は1作目である「早雲の軍配者」ですね。

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