2015/02/03

『信長 暁の魔王』天野純希 感想

信長 暁の魔王信長 暁の魔王
(2013/11/26)
天野 純希

商品詳細を見る

信長といえば天下統一への飛躍のイメージが強いですが、
それ以前に尾張時代の骨肉の争いがあったのも事実。
特に弟である信行との争いは有名でしょう。
そんなドロドロした暗闘に焦点当てたのがこの作品です。

まず信長の母親である土田御前のキャラが良いですね。
腹を痛めた子にまったく愛情を持てず、
信長を排除するために稚拙な策略を巡らしたかと思えば
あっさり信長に騙される小者っぷりが実に哀れです。
徹頭徹尾頭が軽く、最後までそれを自覚できない。

そのせいで子である信長の方も母親の愛情に飢えながら
母親がクズなので素直に愛情を持てないという板挟みに合い、
どこか欠落したまま成長したというのがこの本の解釈。
信長が愛に飢えている話はよく見るのですが、
この話の信長は「そもそも愛って何ぞな」というところで
グルグル回ったまま成長しちゃった感があります。
いや、帰蝶や吉乃との間に愛はあったのかもしれませんが
それを感じる部分が壊れてしまったと言うべきなのか。

この信長は本来なら凄く感情的な人間だと思うんですよ
信行への最後の行動も情から来たものでしょうし。
ただ、幼少期からそれをぶつける相手がいなかったせいで
自分の感情すら見失ってしまったというか、そんな感じ。
なんだか見ていて凄くやるせない気分になりました。
僅かな救いは帰蝶がいい女であるところかな。

今回の話は桶狭間で勝利し美濃攻めが始まるまでですが、
この信長と帰蝶の破滅的な結末まで見たくなる作品でした。
でも母親との関係には一応決着が付きましたし、
この先は読者の想像に任せるのが妥当かもしれませんね。

コメント

非公開コメント