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『名将 山中鹿之助』南原幹雄 感想
名将 山中鹿之助名将 山中鹿之助
(2007/11/29)
南原 幹雄

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「願わくば我に七難八苦を与えたまえ」が有名すぎる
山中鹿之助を主人公にした戦国歴史小説。

歴史小説であるだけに話の大筋は史実通りなのですが、
流石に一冊の小説になると細かい事件の描写も入っていて
一度は滅びたはずの尼子家が何故あれだけしつこく
戦い続けることが出来たのか、納得できる内容でした。
特に印象に残ったのは毛利と尼子の調略合戦ですね。
尼子から毛利に寝返った相手に対しても
裏切り者ではなく調略し安そうな相手として
どんどん勧誘をかけていく姿勢はとてもドライです。
もちろん毛利の方も実力や金を使って勧誘しまくりですし、
双方から勧誘される当時の小領主はホント大変そう。
単純に裏切る裏切らないだけでは済まされない
当時の世相がしみじみと実感できる内容でした。

その一方で山中鹿之助本人の描写は薄め。
山中鹿之助といえば忠義の士というイメージですし、
この本でもその方向性自体は変わらないのですが、
心理描写が淡白で人間的な魅力に関しては微妙ですね。
主君である尼子勝久の描写もあっさりしていますし、
鹿之助といえば忠義の士であるだけにここら辺の
主従関係についてはじっくり掘り下げて欲しかったです。

歴史小説には心理描写を掘り下げて史実の流れは
ザックリなぞるタイプと、出来事を細かく描写して
人間描写はあっさり流すタイプがありますが、
南原さんの作品については後者だと思っています。
このタイプは知識的な新鮮さは感じられるものの、
登場人物の行動に対する感動が薄いのが惜しいところ。
まあ、出来事を書くだけで結構分厚い本になっていますし
心理描写まで手を回すのは難しいとは思いますが…。

テーマ:歴史小説 - ジャンル:小説・文学

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