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『光琳ひと紋様』高任和夫 感想
光琳ひと紋様光琳ひと紋様
(2012/10/20)
高任和夫

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日本画の巨匠である尾形光琳を主人公にした歴史小説。
光琳といえば画家の常として作品こそ有名であるものの
その人格については話題に上がることが少ないですが、
そこをしっかりカバーしてくれるのがこの作品です。

この本の光琳はかなりのダメ人間。
大商人の息子として生まれたこともあって
めちゃくちゃ金遣いが荒く、女にもだらしがない。
子供孕ませて慰謝料取られてを何度も繰り返すところとか
ほんっとーにダメ人間っぽさが溢れててげんなりします。

とはいえそこは光琳、単にだらしがないだけではなく
絵への執着心が人一倍なところにも彼らしさを感じます。
絵を描くか女遊びをするか二つに一つという
極端な生き方しかできない光琳の描写はなかなか面白い。
いかにも壊れた芸術家という感じがいいですね。
有名な作品に対する一通りの解釈が載っているのもいい。
もちろん専門書と比べると微々たるものですが、
小説としてはサラッと読めるのでちょうどいいです。

あと、この本を読んで改めて強く感じたのは
芸術家にとってのパトロンの重要さ。
借金塗れのダメ人間である光琳がそんな状態でも絵を
書き続けられたのは公家や商人たちの援助のおかげですし、
その作品が広まったのも買ってくれる人がいたからこそ。
もちろん運の力が全てというわけではなく、
光琳の場合は本人のダメさと周囲の優しさが
上手く化学反応した結果、ああいう作品が生まれたわけで、
そう考えるとなんだか不思議な気分になるんですよね。

テーマ:歴史小説 - ジャンル:小説・文学

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