2014/10/19

『極悪 五右衛門伝』萩耿介 感想

極悪 五右衛門伝極悪 五右衛門伝
(2014/02/21)
萩 耿介

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石川五右衛門について好き勝手に書いた歴史小説。
石川五右衛門といえば一応、実在したっぽいとはいえ
その前歴についてはいまだにハッキリしていないのですが、
そこを逆手にとって物凄くフリーダムに書いています。

主人公は梅北一揆の首謀者である梅北国兼の息子・五郎太。
一揆に失敗して身内や領民を虐殺された五郎太ですが、
処刑人の気まぐれによって流浪の旅に出ることに…。

という感じの導入部ですが、既にこの時点でフリーダム。
梅北一揆という題材を選んでる時点で渋過ぎですし、
梅北五郎太というのも調べてみると創作っぽいです。
しかもその後、五郎太はマニラで海賊をしたり
大阪で商人になったり出雲阿国と芸を作ったりと
めっちゃくちゃ波乱万丈の生き方を送ることになります。
ここら辺、明らかに創作なんですけど、
小説としては非常に面白いのでまったく問題なし。

あと、この作品の場合、冒険譚としても面白いのですが、
それと同時に「悪」について掘り下げていく
哲学物語としての一面も持っています。
足の裏に「仏」の文字を彫り、仏を踏みながら
生きていくというのは奇妙に魅力のある考え方。
そんな生き方しか出来なくなってしまった五郎太を
ひたすら掘り下げていく心理描写は読み応えがありました。

萩耿介さん、独特の濃い心理描写が幻想的な雰囲気を
作り出していてお気に入りの作家の一人です。

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