手を出したものの感想を書き溜める場所
『月と蟹』道尾秀介 感想
月と蟹月と蟹
(2013/07/12)
道尾 秀介

商品詳細を見る

海辺の街・鎌倉を舞台に小学生である慎一の
小学生らしい鬱屈とした悩みを描いた直木賞作品。
一応、ラストにどんでん返しはあるものの、
今回はミステリーというよりは文学小説に近いですね。

小学生の悩みと聞くとどこか可愛い印象を受けますが、
この小説の場合は終始ドロドロしたものが流れています。
悩みの内容はクラスでの孤立や母親の新しい恋人、
友人との三角関係など、全体的に重めではあるのですが、
現実でも十分ありえる状況と言えるのでは?
まあ、流石にここまで重なるのは稀でしょうが。

そんな状況にじわじわと追い詰められていく慎一の
心理描写が今作の最大の見どころですね。
この年齢だと素直に大人を頼れないのも分かりますし、
それでいて「全部周りが悪い」みたいな責任転嫁をする
心理状態も実に子供らしくて共感しやすかったです。
自分も昔はこんな感じで捻くれてた記憶がある。

あと、ヤドカリを焼くシーンの臨場感も良かったですね。
子供らしい残酷さと非日常的な神聖さ、そしてカルト的な
気持ち悪さの交じり合った絶妙な雰囲気が溜まりません。
徐々に壊れていく慎一がどこで爆発するのか。
最後までハラハラしながら一気に読むことが出来ました。

テーマ:読書感想文 - ジャンル:小説・文学

コメント
コメント
コメントの投稿
URL:
本文:
パスワード:
非公開コメント: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
トラックバック URL
トラックバック