2014/08/25

『藁にもすがる獣たち』曽根圭介 感想

藁にもすがる獣たち (講談社文庫)藁にもすがる獣たち (講談社文庫)
(2013/08/09)
曽根 圭介

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床屋を引退した貧乏親父、ヤクザに借金がある不良刑事、
旦那のDVに怯える主婦という三人の視点が交互に進み、
複雑に絡み合った挙句に予想外の結末に辿り着く物語。

「藁にもすがる獣たち」とは三人の主人公のこと。
人生に行き詰まって危険な賭けに手を出すのは
三人とも同じですが、それぞれ結末が異なるのが面白い。
立場の異なる三人ですが、追い詰められているという
一点では共通しているので作品としては纏まっています。

貧乏親父はこれまで真面目に働いてきたのに
認知症の親や貧乏な子供を抱えてたりして
まだ境遇には同情の余地があります。
こうなると一発逆転を狙うしかないというのも分かる。
でも不良刑事や主婦は同情の余地なしかと。
主婦はDVを受けているという一見弱者的立場なのに
本人の行動を見るとまったく同情できないのが凄いです。
こういう描写の仕方は匠の技を感じます。

物凄い勢いで転がり落ちていく物語なのですが、
読後感が悪くないのは話の展開が起伏に飛んでいて
サクサク読み進められるのが大きいかな。
オチにしてもギリギリかろうじて最悪ではないですし。
地べたを這いずり回っているのに疾走感はあるという
なんだか不思議な感触が癖になりそうな作品です。

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