2014/07/26

『アトロシティー』前川 裕 感想

アトロシティーアトロシティー
(2013/02/16)
前川 裕

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母娘餓死事件についての記事を書いた田島は
その直後に強引な訪問販売の現場に巻き込まれます。
更に調査していくと都内で発生している殺人のいくつかは
訪問販売を招き入れたことから始まっていることが判明。
ついには田島自身もその恐怖を味わうことに…。

という感じで、餓死や訪問販売といった
現代社会問題を題材にしたクライムサスペンス。
強引な訪問販売問題は今でもたまに目にしますが、
この本の場合は集団で家に上がり込みサッと住人を殺して
バラバラになって逃げるというのだから凶悪度が違う。
最悪でもお金を取られるだけという考えが甘く見えます。
ホラーとはまた違う、身近な恐怖がある。

この本では様々な理由で人を殺す人物、
あるいは殺そうとする人物が出てきますが、
実際のところ、人間ってどうなんだろうなと思ったり。
良心の呵責が少ないまま人を殺すタイプは
世界的にも有名な連続殺人鬼レベルの別格として、
その場の異様な空気に流されて殺すタイプや
今の生活を守るために脅迫者を殺すタイプなんかは
結構身近な存在なようにも思えてきます。
一部には情状酌量の余地はあるようにも見える反面、
殺してるという点は同じなのがちょっとモヤモヤ。
あと集団で殺した際に主犯従犯の差も微妙なところ。

それぞれの人物の結末には賛否が分かれそう。
必ずしも因果応報な終わり方ではないのですが、
そういうスッキリしないところに余韻を感じるか、
それとも全員の結末をしっかり描いて欲しいと感じるか。
個人的にはこの読後感は結構好きだったりします。

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