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『黎明に起つ』伊東潤
黎明に起つ黎明に起つ
(2013/10/24)
伊東 潤

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北条早雲こと伊勢新九郎を主人公にした歴史小説。
伊東さんといえば史実を下敷きにしたドラマチックな展開が
売りだと思っているのですが、今回はそれが薄かったかも。

早雲の生年を1456年にしているのは珍しいか。
最近では一般的となっていますけど、歴史小説では
1432年説を取っているものが多いような印象があります。

しかし逆に早雲のキャラクター自体は平凡な名君。
民のためという理想に燃える性格は主人公らしいですが、
それ故に話の展開もごく普通の名君物になっています。
決してつまらないというわけではないのですが、特徴が薄い。
ラストの道寸との一騎打ちは燃えましたけどね。

室町末期の動乱の状況説明に文章を取られ過ぎて
人物描写が薄くなってしまったのが物足りなさの原因か。
応仁の乱真っ最中の京都、公方乱立上杉分裂の関東。
この時代では避けて通れない政変ではあるのですが、
まともに解説し出すと泥沼に踏み込んでしまうことに。
伊東さんもシンプルに纏めようとしているのは分かりますが
それでもやっぱり滅茶苦茶ややこしいです。
早雲から遠いところで起こっている戦いということもあり、
人物の掘り下げ効果が薄くなってしまうのが痛い。

伊東さんの作品で同じ時代を扱っている作品に
『疾き雲のごとく』がありますが、こちらは短編集で
それぞれの登場人物や事象を絞って書き込んでいましたし、
各地で暗躍する早雲の立ち位置も面白かったです。
まあ脇役だからこそ出来る面白さではあるんですけど。

テーマ:歴史小説 - ジャンル:小説・文学

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