2014/06/13

『ハードトーク』松原耕二 感想

ハードトークハードトーク
(2013/09/20)
松原 耕二

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インタビュアーを主人公にした珍しい小説。
インタビュアーというと日本では記者と同じに見られますが、
この小説ではインタビューのプロのことを指しています。

かつて得意の話術によって政治家の失言を引き出した主人公。
それから20年後、閑職に追いやられていた主人公は、
総理まで伸し上がった政治家と再び番組で対決することに…
という感じで落ち目の中年男が主人公なのですが、
これがなかなかどうして、グイグイ読ませる小説でした。

まず冒頭のインタビューからして面白い。
政治家がちょっと隙を見せればそこを徹底的に突きまくって
致命的な発言を引き出す話術の怖さがビシバシ伝わってきます。
自分の言ったことに責任を持つのは仕方がないとはいえ、
口を閉じても逃げたと叩かれるのが恐ろしいところですね。

しかし20年後は一転して苦境に立たされている主人公。
相手を叩くインタビューで自殺者を出してしまった結果、
仕事からは干され、被害者の身内からは訴えられることに。
自分がインタビューされる側になるのはなんとも皮肉。
インタビューによって人を殺したと攻めているマスコミ側も
同じように主人公を叩いている辺りが実にマスコミらしい。

ラストの主人公と政治家の対決は圧巻の一言。
自分のインタビューが原因で人生を狂わされた政治家相手に、
果たして主人公はどんな結論を出すのか…。
この着地点がまた素晴らしく、本物のインタビューや
マスコミのあるべき姿について考えさせられる内容でした。
難しいテーマを見事に纏め切った快作だと思います。

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