2014/06/05

『己惚れの砦』中路啓太 感想

己惚れの砦己惚れの砦
(2009/08/19)
中路 啓太

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江戸時代の末期、天保の改革の最中を舞台に
とある武士の生き様を描いた時代小説。

主君・水野忠邦のために罪を被った物集女蔵人。
しかし暴走し始めた天保の改革を止めるため、
蔵人は流刑地から脱出し江戸に潜伏することに。
あらゆる手段を使って改革を正常な方向に
戻そうとする蔵人ですが、結局は忠邦の配下と
血を血で洗う闘争を繰り広げることに…。

テーマとなっているのは古い武士の生き様。
主君のため、というと一般的な忠義のようにも
見えるのですが、これが自分の中の正しさを
押し付ける「己惚れ」なのが面白かったですね。
主君から嫌われても世間から見て間違っていても
そんなことは知ったことではなく、自分の意志を
無理矢理押し付けていくという強引さが話の肝。

押し付けがましいにも程があるのですが、
受け入れられなかったら死ねばいいという
潔さもまた古い武士ならではの清々しさがある。
こういうはた迷惑さと清々しさを併せ持った
人間というのは、確かに武士らしいのかも。
切腹文化を考えると納得できるものがあります。

あと、悪役である主馬も良かったですね。
鍛えようが助けようが逆恨みする徹底っぷりが、
蔵人とは別の意味で頑固一徹さを感じさせる。
好き勝手殺しまくって満足して死ぬとか、
悪役として最高の終わり方じゃないでしょうか。

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