2014/04/20

『塔の下』五條瑛 感想

塔の下塔の下
(2012/08/18)
五條 瑛

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建設中のスカイタワーを臨む
下町を舞台にしたハードボイルド小説。
シリーズ物らしいですがこの本から読んでも
特に戸惑うこともなく読むことが出来ます。

主人公である鏑木はヤクザの使い走りですが、
元は大学准教授であるという経歴のせいか、
妙な育ちのよさを感じさせるところがあります。

主人公からしてこんな感じですし、他の
登場人物もドロップアウトした一般人が多め。
一般人にも戻れず、ヤクザにもなれない
中途半端な立場の人間たちを描いていくのが
このシリーズのテーマになるのかな。

中途半端な立場なのは確かですけど、
一般人と比べると規則が緩くて気楽ですし、
刺激的なイベントに接する機会も多い。
そんなところだけを見ているとこんな立場も
悪くないように思えてくるのですが、
そこで油断してうっかり深入りしてしまうと
次の日には海底に沈む破目になることも。

そういう、ある程度裏社会に慣れたせいで
自分は上手くやれるという思い込みに陥って
自滅していく人間の危うさというものを
じんわり見せてくれる作品だったと思います。
なかなか雰囲気が好みだったので
今後はこのシリーズも追いかけていこう。

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