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『利益相反(コンフリクト)』牛島信 感想
利益相反(コンフリクト)利益相反(コンフリクト)
(2010/05/07)
牛島 信

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タイトルを見て経済小説かと思ってたら
純文学小説が出てきた、という感じ。

主な登場人物は、とあるワンマン企業の社長と
その側近、企業の顧問弁護士兼監査役の三人。
社長による企業の私物化、社長に対する
クーデター、監査役の権限と義務といった
経済小説らしい要素もあるにはあるのですが、
それ以上に上記三人の内省描写が多かったです。

69歳まで金儲け一筋で生きてきた社長。
しかしいきなり息子がいたことを知らされ、
今までの自分の人生を改めて振り返ることに。
これまでは自分一人で世界が完結していて
好き勝手してきたものの、唐突に現れた
息子の存在によって世界が広がる感覚と戸惑い。
なかなか丁寧に描かれていたと思います。

社長のためだけに生きてきた側近。
結果的に常務まで出世してしまったものの、
社長の企業私物化を前に、会社と株主のため
社長に対するクーデターを画策します。
しかし社長への恩と会社への献身の板挟みで、
徐々に精神をすり減らしていくことに。
そんな彼の辿り着いた結論とは…。

企業の顧問弁護士兼監査役。
上で書いた社長の息子がこの人。
母親が完全に隠してきたため社長も息子も
お互いが親子だとは知らなかったものの、
社長の資金流用を知ると同時に親子関係も
知ることとなり、弁護士の職業倫理を取るか
親子としての倫理を取るかこれまた板挟みに。
父親が存在しなかった過去から弁護士を
目指した理由までじわりじわりと
掘り下げられていく感覚がたまらんです。

後半に行くほど内省描写が増えた結果、
ストーリー展開も遅くなっていくんですけど、
自分としてはなかなか読み応えがありました。
ただ、経済小説としては拍子抜けでしょうね。

テーマ:読書感想文 - ジャンル:小説・文学

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