2014/04/05

『還暦探偵』藤田宜永 感想

還暦探偵還暦探偵
(2010/10)
藤田 宜永

商品詳細を見る

還暦間近になった限りなくお爺さんに近い
おっさんたちの物語を収録した短編集。

「喧嘩の履歴」は喧嘩ばかりしながら
年を取ってきた、とある老夫婦の物語。
夫婦どちらも気が強ければこうなるのは必然。
年を取っても相変わらずすれ違いばかり。
でもそこがいいと思えるようになってるのは
今までの積み重ねがあればこそなのかも。
こんな夫婦、憧れます。

「返り咲き」は娘のような年齢の女性との
会話に潤いを感じるおっさんの話。
性欲がないわけでもないんですけど
がっついてないのはこの年代の良さか。
親なのか男なのか曖昧な立ち位置で
女性に対するというのもまた面白い関係。
最後にちょっとしたどんでん返しあり。

社長に歯向かってリストラ直前のおっさんが
街で馴れ馴れしい男に出会ったところから
物語が始まる「ミスター・ロンリー」
リストラひとつで右往左往する男もいれば
もっと重大な問題を抱える男もいる。
しかし大概のことは何とかなるのだ。

友人の通夜の帰りに通夜で知り合った女性と
ホテルにしけこむ「通夜の情事」
もう性欲なんてねーよと言っていた友人が
個室ビデオ店で死ぬところに妙に哀愁が漂う。
一方で主人公の、その場の流れの任せた
一夜限りのスッキリしたお付き合いというのは
大人のお付き合いとしてはある意味理想的。
忘れていくことすら心地よい。

夫婦がお互い浮気している「難しい年頃」
夫婦どちらも今の相方と別れるつもりはなく、
あくまで遊びとして浮気しているのですが、
それがいい感じでストレス解消になっていて
夫婦生活が円満になっているのが面白い。
適度な刺激は人生を豊かにする…のか?

おっさん二人が探偵の真似事をする「還暦探偵」
やべぇ、自分も退職後に暇になったら
探偵ごっこに本気出してしまいそう。
他の小説でも見ましたけど自分だけの
秘密基地を作るというのもまた男の浪漫ですね。
こういう場所で酒をちびちび飲みながら
映画や読書で過ごせるようになるというのも
人生の目標としてはありかもしれません。

コメント

非公開コメント