2014/01/16

『黒い魎(みずは)』岡崎大五 感想

黒い魎(みずは)黒い魎(みずは)
(2012/05/15)
岡崎大五

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東日本大震災の起こった東北地方を舞台に
復興に励む人々やそれに群がるマスコミ、
一儲けを企む犯罪者などを扱った群像小説。

序盤で様々な人間の視点から東日本大震災の
発生を描写したのは群像小説に相応しい。
国籍関係なく日本に住んでいる人々が
あの惨劇を等しく目撃していたというのは
それだけ震災の大きさを実感させてくれます。

ただ、中盤以降の流れがよろしくない。
というのも、話の一番大きな部分が被災地で
起こる泥棒や詐欺の解決に取られていて、
結果的に復興関係が薄くなってるんですよね。
被災地に一人のワルが潜り込むだけで
酷いことになるというのは分かりましたけど、
震災小説としてはどうなんだという感じ。

煽り文が「被災地の現実と希望云々」という
震災小説っぽかったのも悪かったと思います。
「被災地で暗躍するワルに立ち向かう被災者達」
みたいな煽りなら内容と一致してるのですが。
犯人にしても単純に生まれが悪いだけでなく、
阪神大震災の影響でこうなったとかなら
もう少し深く掘り下げられた気がします。

被災者達の苦悩や詐欺の手口なんかは
細かく描写されていただけに、物語の本筋が
ただの振り込め詐欺だったのが惜しい。

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