2013/11/29

『私立探偵・麻生龍太郎』柴田よしき 感想

私立探偵・麻生龍太郎 (角川文庫)私立探偵・麻生龍太郎 (角川文庫)
(2011/09/23)
柴田 よしき

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元警察官にしてゲイの私立探偵、
麻生龍太郎が活躍する短編集。
この本では4本の作品が収録されていますが、
どれもしっとりとした雰囲気を纏っています。

タイムカプセルを探して欲しいという
ロマンチックな依頼で始まる「OUR HOUSE」
調査としては、かつての住人や不動産会社に
当たるだけなのでサクサクと進むのですが、
それがかえって不穏さを感じさせるのが奥深い。
不安を煽るだけ煽って明確には見せずに
終わるのですが、こういうオチは結構好き。

「TEACH YOUR CHILDREN」ではセクハラ冤罪に
巻き込まれた中年教師からの依頼で動くことに。
ここでは元警官の女性探偵・沖田が登場。
女性作家の書く女性って男性作家の女性より
毒々しい人間が多い気がするんだよなぁ。
まあ、女性を綺麗なものとして書くことも
一種の女性蔑視なのかもしれませんが。

「DEJAVU」は麻生が大昔、ひょんなことで
一瞬だけ関わった青年の手助けをする話。
昔、少しだけキャッチボールをしたという
理由で動く麻生さんはホント、ロマンチスト。
でもこういう動機で動ける大人は大好きです。

ラストの「CARRY ON」は複雑な心理戦小説。
どいつもこいつも手の込んだ小細工を
仕掛けてきて、それらが干渉しあったせいで
もうすっちゃかめっちゃかになるという展開。
ラストだけあってキャラの動きも激しく、
なかなか緊迫感のある展開でした。
男の嫉妬は見苦しいですけど、見苦しければ
見苦しいほど共感できてしまうのが不思議。

ちょこちょこと入る麻生と恋人(男)の
やり取りについてはこの本だけでは消化不良。
まあそれは外伝的存在なのでしょうがないかな。
話自体は面白かったですしこのシリーズの
他の本にも手を出してみたくなりました。

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