2013/11/12

『あるじは信長』岩井三四二 感想

あるじは信長あるじは信長
(2009/11/05)
岩井 三四二

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織田信長に仕えた様々な人物の短編集。
岩井さんの信長像といえば天才肌でありながら
感情の起伏が激しい付き合いにくい人物として
書かれることが多いですが、それはこの本も同じ。
どの話でも主人公は信長に振り回されています。

ただ、間接的に振り回される人物が多いせいか、
信長自身の印象はそれほど強くはないですね。
例えば比叡山焼き討ちを聞いて肝を冷やす
津島神社の神官や信長に相撲を見せることで
出世を狙う力士など、信長の奇行については
書かれているものの、物語の中心は信長とは
少し距離を置いたところにあるように見えます。

しかしそのおかげで話のバリエーションは
多彩になっていて、最後まで飽きさせない内容。
神官に右筆、同朋衆に力士と、歴史の脇役からの
視点で物語を楽しめるのはこの本ならでは。
短編の収録順も桶狭間から始まって天王山で
終わっていて、一つの時代が終わった感がある。
まあ天王山の時には信長は死んでいますけど、
影響は大きいということで許容範囲か。

面白い本ではあるのですが、読み終わっても
信長という人物との付き合い方が分からないので
微妙にモヤモヤ感が残ってしまうのが困りもの。
でもこの本の主人公たちもこんな気持ちで
毎日を過ごしていたんだろうなぁ。
ホント、やりにくい上司である。

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