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『李世民』塚本青史 感想
李世民(下)貞観篇李世民(下)貞観篇
(2012/12/26)
塚本 青史

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唐の2代目皇帝にして名君として名高い
太宗・李世民を主人公にした作品。
塚本さんの作品には「煬帝」がありますが、
時代的にもその続編のような位置づけですね。

上巻は李世民が皇帝の地位に就くまで、
下巻は貞観の治とその最期までという内容。
この李世民、肉親との骨肉の争いを制して
帝位に就いたという流れは煬帝と同じ。
でも煬帝が積極的に兄を蹴落としたのに対して
こちらは自衛のためというのが大きな違い。
命を狙われれば対応するしかないのです。

しかしこの一時が煬帝を思い起こさせるため、
李世民が煬帝に対してコンプレックスを
持ち続けることになる描写は面白いです。
割り切れない人間って好きなんですよねぇ。

それが明確に出たのが高句麗遠征の失敗。
隋より唐の方が体力があったから
助かったとはいえ、一歩間違えれば隋と同じ
滅亡ルートに乗ってもおかしくないです。
こういう無茶を見てると、煬帝に対する
李世民の屈託も事実かも思えてきます。

基本的には決断力があり、臣下の意見も
よく聞く名君として書かれている李世民。
しかしそんな彼も跡継ぎには恵まれず、
皇太子決定までグダグダしているのが何とも。
単純に出来でいえば李恪なんでしょうけど、
宮廷工作なしじゃ無理ゲーだからなぁ
そういう点でも李世民はやり手でしたしね。

今までの塚本さんの作品って淡白な印象が
強かったんですけど、この「李世民」と
「煬帝」に関しては人間の裏まで
掘り下げようという気概が感じられました。
二人の皇帝の生き様とその類似点。
こういうのがあるから歴史は面白い。

テーマ:歴史小説 - ジャンル:小説・文学

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