2013/08/27

『青嵐の譜』天野純希 感想

青嵐の譜青嵐の譜
(2009/08/05)
天野 純希

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元寇に翻弄される壱岐の若者たちを描いた一冊。

画家を目指す主人公が宋に渡って紆余曲折の後
元軍に入り、日本侵攻を手助けすることに。
一方、故郷である壱岐を焼かれた親友は
元軍を皆殺しにするためだけに生きるように…
という感じで、主人公と親友が敵味方に
分かれるのは王道ストーリーが展開されます。

視点をバラけさせたことによって
元に滅ぼされる南宋や滅ぼされた後の状況と、
元の来襲に対する日本の対応をテンポよく
書かれていて、最後まで退屈しないのはいい。
この本では、幕府は北条家の権力強化のために
元寇を起こしたという解釈が取られています。
一理あるとは思いますけど真相は闇の中。

何気に竹崎季長の立場が多く、当時の御家人の
困窮や土地への執着もしっかり書かれています。
九州在住の御家人たちと坂東武者たちとの
戦に対する気合の温度差も興味深いところ。

元寇といえば防衛戦のイメージが強いのですが、
当然ですがこちらからも攻撃しています。
敵陣地への突撃などはもちろんのこと、
はるばる朝鮮まで渡ってチクチクと
攻撃していた人がいたことは知られていない。
倭寇といえば戦国時代の方が有名でしょうけど、
この頃から活躍していたんですよね。

話の中で少し気になったのは
脇役が物凄い勢いで死んでいくこと。
主人公と親友の生き様がメインとはいえ、
それ以外の人間はサクサク死んでいきます。
「この戦いが終わったら…」系の死亡フラグが
ばら撒かれてて最後まで気が抜けません。
しかし死に様自体は悪くなかったとはいえ、
読んでいて疲れが残ったのもまた事実。
もう少し生き残って欲しかったかな…。

面白かったですし後味も爽やかなのですが、
被害の大きさを思うとどこか引っかかる。
そんな小説でした。

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