2013/08/20

『越前宰相秀康』梓澤要 感想

越前宰相秀康越前宰相秀康
(2011/06)
梓澤 要

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徳川家康の次男である越前宰相秀康の物語。
タイトルは秀康ですが、実際は秀康の母である
お万の方と秀康が主人公になっています。

秀康といえば二代目将軍秀忠よりも
有能でありながら日陰者に徹した不遇人という
イメージが強いですがそれはこの本でも同じ。
今まで知らなかった秀康の一面もあるのですが、
基本的には大方のイメージ通り、報われない
兄貴分という役割で最後まで進みます。

親の都合でたらい回しにされたとはいえ
最終的な地位は決して悪くはないのですが、
それでも自分の居場所のなさや秀忠への
複雑な感情で悩み続けてしまうのが人間の性。
努力でも才能でもどうしようもない壁に対する
やるせなさに共感してしまう人も多いのでは?

秀康双子説は知らなかった。
秀康自身は他の歴史小説でも顔を出しますけど
出生まではなかなか話題にならないですしね。
しかし双子として生まれた時点で家康から
忌み嫌われてるっていきなり詰んでるなぁ。

ただ、この本の描写を見ていると家康自身は
本当は秀康に愛情を持っているんですけど、
人質として過ごした自身の生まれ育ちのせいで
人を信用できなくなっているようにも見えます。
そしてそれは似た育ち方をした秀康も同じ。
それ故に二人の関係がこじれてしまったと
思うとちょっとやり切れないですね。

目新しい解釈こそ少なかったものの、
頑固な親子のすれ違いという定番の展開を
きっちり掘り下げて見せた作品だと思います。

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