2013/07/25

『破天の剣』天野純希 感想

破天の剣破天の剣
(2012/12/03)
天野 純希

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島津四兄弟の末弟、家久をメインに、
戦国末期の島津家の奮闘を描いた一冊。
島津といえば平野さんのドリフターズで
豊久が大暴れして話題になっていますが、
本作の家久は豊久の親父に当たります。

この作品で書かれている家久は
戦に関しては天才的な閃きを持つものの、
それ以外は全くダメなコミュ障人間。
戦闘能力こそ皆から認められていても、
政治に関してはまったく顧みないままで、
ひたすら戦に向かって走り続けます。
ここまで一点特化な人間も珍しい。

そんな天才的馬鹿を弟に持った兄三人は
当たり前ですが苦労させられっぱなし。
しかし時には喧嘩しつつもなんだかんだで
弟を見捨てない兄弟愛は温かかったです。
家久が死んだときの反応は凄く切ない。

耳川の戦いや沖田畷の戦いといった
大戦の描写は緊迫感があって良かったです。
家久を天才であると同時に研究家として
扱っているだけあって作戦描写が丁寧で、
必殺の釣り野伏せの手順についても
非常に説得力のある描写がされていました。
伏兵一つ用意するのも大変なんだよ。

島津四兄弟の中では早死にしたせいか
若干話題になりにくい家久という人物を
綺麗に掘り下げてみせた快作だと思います。
人物も戦争も楽しめる良エンタメでした。

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