2013/07/24

『春から夏、やがて冬』歌野 晶午 感想

春から夏、やがて冬春から夏、やがて冬
(2011/10)
歌野 晶午

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歌野さんらしいどんでん返しが光る作品。
ただ、今回は最後のどんでん返しよりも
そこへ至る描写の方が心に残ったかな。

妻と娘を失い生きがいをなくしてしまった
中年男の投げやり感の描写は良かったです。
娘に近い年頃の女性を見るとついつい
甘くしてしまったりするのですが、
その甘やかしっぷりがこれまた適当で
本当に投げやりなのが伝わってきます。
正義感は優しさはあるのに、どこか遠い。

万引き娘は典型的なDV被害者ですね。
元々の性格は悪くないのにダメ男から
離れられず周りを巻き込んでいくタイプ。
個人的には嫌いではないんですけど、
イライラさせられるという感じですかね。
でもあのラストは読めなかったです。

全体的に丁寧に描写されているんですけど、
姪のエピソードはちょっと浮いてたかな。
後々絡んでくるかと思っていたんですけど
特にそういうこともなかったですし。
主人公の代償行為を強調するためかも
しれませんが、ちょっと中途半端な気が。
起承転結の結への入り方も急だったかな。
メールの前にもう一段落欲しかった。

しかしなんとも言えないこの読後感。
確かにこれも救済の形ではあるのですが…
結構ズシンと来るので疲れているときに
読むのはお勧めできないかもしれません。
個人的にはこの重さは好みですけどね。

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