2013/05/03

『東京スタンピード』森達也 感想

東京スタンピード東京スタンピード
(2008/12/13)
森 達也

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マスコミと群集心理をテーマにした一冊。

番組制作会社でディレクターとして働く主人公。
秘境物専門というだけあって、一年の大半を
秘境で過ごしているのですが、その間に日本は
どんどんおかしな方向へ…というのが話の流れ。

序盤はテレビ業界の番組製作や自主規制について
丁寧に語っていたのでそういう作品かと思いきや、
途中で集合無意識研究所とかいう怪しい組織が
出てきてから話は一気に胡散臭くなります。

最初の方がリアルだっただけに、研究所の
暗躍っぷりが余計に異様に見えるのが面白い。
監視や尾行などスパイ行為全開ですしね。
こういう雰囲気が転調する話は好きです。

統計的には凶悪犯罪が減っているはずのに
治安が悪くなっているような報道…というのは
色々なところで突っ込まれている話ですね。
この本の後半はそんな報道に踊らされた市民が、
やられる前にやれ、とばかりにホームレスや
ヤンキーを狩りまくるという展開になります。

多数派が少数派を潰すジェノサイドの幕開け。
そしてジェノサイドを後押しするマスコミ。
個人の心理としては、虐殺なんてありえないと
思っているのですが、今まで起こった虐殺も
普通の人間がやってるんだから侮れません。
ジェノサイドという言葉の成り立ちには感心。
確かに一度聞いたら頭に残る響きですね。

言いたいことはなんとなく分かるんですけど
最後は丸投げした感じでモヤモヤが残りました。
答えの出るような問題でもないのですが。

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