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2013/04/22

『風は山河より 第五巻』宮城谷昌光 感想

風は山河より〈第5巻〉風は山河より〈第5巻〉
(2007/03)
宮城谷 昌光

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「風は山河より」5巻目。

今回は姉川の合戦から開始。
織田勢の苦戦を他所に、三河勢は持ち前の
しぶとさで朝倉勢を打ち破って見事勝利。
相変わらず三河勢の戦い方はキモイ(褒め言葉
引かなければいつかは勝てるというやり方は
真っ向勝負だとそうそう負けないですね。

浅井朝倉を蹴散らしてほっとしたのも束の間、
満を持して信玄が上京を開始することに。
その先陣となったのは秋山信友。
散々北三河を蹂躙した信友ですが、
菅沼、西郷、設楽の起死回生の奇襲によって
敗退し、菅沼はひとまず危機を脱します。
しかし主人公もどんどん交代しますけど、
脇役も次々死んでいく作品だなぁ。
西郷義勝とか普通の物語ならこれから
出世していくフラグが建っていたのに。

信玄の侵攻は流石の一言。
この作品の信玄は略奪者的描写が多いものの、
それでも戦での圧倒的な強さは揺るがない。
三方ヶ原の戦いでは追撃する家康を一蹴。
全力で追ってくる相手を返り討ちするという
指揮能力だけで信玄の凄まじさが分かります。

そしてクライマックスである野田合戦。
小勢で1ヶ月持ちこたえた新八郎は
武名を高めたものの、敵である新八郎に
水を贈る信玄の器の大きさはそれ以上でした。
物語は長篠の戦いまで続いてはいるのですが、
信玄戦以降はエピローグみたいなもんですね。

これにて菅沼3代の物語は完結。
話は凄く面白くて夢中になれたのですが、
カタルシスという点では物足りなかったか。
宮城谷さんの主人公は魅力的なのですが、
それ故に地方の一豪族で終わられると
物足りなさが勝ってしまう気がします。
偉人主人公向きなのかもしれませんね。

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