2013/04/03

『風は山河より 第一巻』宮城谷昌光 感想

風は山河より 第一巻風は山河より 第一巻
(2006/11/30)
宮城谷 昌光

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宮城谷さんといえば古代中国物が有名ですが、
これは珍しく日本の戦国時代を扱った作品です。
とりあえず1巻時点での感想。

舞台が日本だけあっていつもよりも
分かりやすいかと思いきや、菅沼一族という
マイナーな題材なせいでいきなり置いてけぼり。
時代としても戦国時代本番より少し前で、
家康の祖父である清康の時代から始まります。

初っ端はいきなり清康無双。
10代で家督を継いであっさり三河を統一し、
20代では外征する力まで持つとか凄まじいです。
家康少年期の三河とはえらい違いですね。
この人が長生きしていたら尾張、美濃を食って
天下を取れたかもと予想されるのも分かります。
まあ、織田信秀や斎藤道三も健在なので
そうそう簡単には行かないのかもしれませんが。

そんな英傑があっさり殺されるのが怖いところ。
ここまで主人公補正バリバリでやっていたのに、
いきなりとち狂った家臣に切られるとかもうね。
残された家臣たちの無念っぷりが半端ない。
1巻の内容はこの「守山崩れ」までですけど、
これだけでも一つの物語として完結しています。
桶狭間や本能寺と同じぐらいドラマチック。

主人公である菅沼新八郎定則はまだまだ
一豪族に過ぎないため目立った活躍はなし。
性根の綺麗さは宮城谷さんの主人公ぽいですが、
いかんせん、状況を左右させられるほどの
地力がないのでどうしようもないかなぁ。
ただ、それはそれで悪いわけでもなく、
この時代の小豪族が家を残すために冷静に
周囲を観察している雰囲気は悪くないです。

松平家だけでも分家が山ほどあるのに
菅沼家や他の豪族達の分家もてんこ盛りで、
読んでいるこちらも把握し切れないのですが、
それらの情報を整理して上手く時代の流れに
乗ろうとする豪族達の様子が非常に興味深い。
天下取りも悪くはないですが、こういった
規模の小さな内紛物もこれはこれで楽しいです。
他の歴史小説ではなかなか見られない部分を
掘り下げてくれた宮城谷さんには感謝。
次の巻も楽しみです。

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