2013/03/06

『朝鮮半島201Z年』鈴置高史 感想

朝鮮半島201Z年朝鮮半島201Z年
(2010/11/30)
鈴置 高史

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2010年代の朝鮮半島の状況を
シミュレーションした思考実験小説。
ジャンルとしては小説なんでしょうけど、
本編は新聞記事風の文章やインタビュー形式の
会話ばかりになっているのが大きな特徴です。

しかし記事もインタビューも非常に読みやすく、
そのとき何が起こっているかを把握するのに
不自由するということは全くありませんでした。
特派員として経験豊富な作者さんだけある。

この本の大まかな内容としては、衰退する米国、
中国に吸収される韓国、孤立する日本という感じ。
この手の本はどこかの国を美化し過ぎることが
多いですが、この本は割と中立だったと思います。

ただ米国の弱体化や中国の強気は現実問題として
非常に納得しやすいのですが、中国に関しては
最近の公害問題なんかを見ているとそうそう
成長し続けるかはちょっと疑問に思えてきます。
もちろん楽観視は出来ませんが。

韓国にとって中国が身近な隣人というのは納得。
好き嫌いはともかく、ずっと近くにいたという
慣れを侮るなという意見は説得力があります。
日韓で対等の同盟を結ぶよりも過去の例に倣って
中国に従属する可能性は馬鹿にできません。

この本では日韓がお互いの嫌悪感を押さえて
同盟を結ぶのが一番だという考えなのですが、
それを主導できるほどの人材が双方の国に
いないということもしっかり指摘されています。
まあ双方の感情を考えると難問過ぎますけど。

強引な展開もある本ですが、理論だけでなく
過去の国家間の関係から現代の国民感情まで、
政治家だけでなく国民も正しい情報を
知る必要があるという考えはしごく真っ当。
マスコミが頼りにならないからこそ自分で
多少なりとも調べる必要があるんでしょうね。

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