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『土の中の子供』中村文則 感想
土の中の子供土の中の子供
(2005/07/26)
中村 文則

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中村さんの芥川賞受賞作である「土の中の子供」と
30P程度の短編である「蜘蛛の声」を収録した一冊。

基本的に暗い作品ばかり書いている中村さんですが、
その中でも「土の中の子供」は重いお話ですね。
他の本ではサスペンス的な話が多いのに対して、
この本はひたすら心理描写を重視しています。
まあ、そこが芥川賞作品っぽくもあるのですが。

話としてはやたらと破滅的な行動を取る男が
自分は何故こんなアホな行動を取るのかと
ひたすら自己探求していくだけなんですよね。
そんな内容なので明るくなるはずもないのですが、
最後に少しだけ光を見せるのは中村さんらしいです。
鬱々とした内容ですが読後感は決して悪くない。

中村さんはよく薄幸な女を出してる気がしますけど
傷の舐め合いを描写するのが好きなのかな。
まあ私もお互い癒されていく流れは好きですけど。

「蜘蛛の声」は世にも奇妙な物語でやれそう。
ある日突然社会が怖くなった男が橋の下に逃げ込んで
誰にも気付かれない生活を送るという不思議なお話。
この社会から隔絶した空間に憧れる気持ちは分かる。
というかたまにそういう場所に行きたくなりますし。

しかしそこへ紛れ込んできた一匹の蜘蛛によって
男の過去が暴かれ現実と妄想の狭間が曖昧になり、
最後には男が狂気に踏み込んだところで終わり。
後半の酩酊感はなかなか気持ち良かったです。
最後も投げっ放しの割にはスッキリしていましたし。

テーマ:読書感想文 - ジャンル:小説・文学

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