2013/01/18

『陽の鳥』樹林伸 感想

陽の鳥陽の鳥
(2011/05/25)
樹林 伸

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ある医者が死んだ息子のクローンを作るお話。
この本の大きな要素として息子の死の真相と、
クローンに対する感情の掘り下げという
二本のラインが存在するのですが、
息子の死の真相の方は蛇足だった気もします。

息子を失って半分狂気に犯されながらも
息子の復活を願うという心理描写はいいです。
クローン胚を作るシーンも禁断の儀式ぽくて
いけない雰囲気が実によく出ていたと思います。
代理母や精子バンクに対する各夫婦の考え方も
興味深いですし、クローン製作と不妊治療を
絡めて描写していったのは上手かったですね。

一方で息子の死の真相追求については
ミステリー仕立ての展開になっているのですが、
ミスリードの誘導がイマイチ上手くない。
誘導自体も妙にしつこかったうえ、それが実は
幻覚でしたというのは盛り下がります。
これなら変に捻らずに最初から倫理方面の
問題だけを掘り下げた方が良かったかも。

ミステリーとしてはちょっと微妙ですが、
クローンや不妊を扱った医学小説としては
楽しむことが出来る一冊でした。

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