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2022/03/24

『乱都』天野純希 感想

応仁の乱から戦国時代にかけての京都を舞台にした連作小説。

お題として選ばれたのは畠山義就、細川政元、大内義興、
細川高国、天文法華の乱、足利義輝、足利義昭と多種多様。
これらを題材にした作品が時代の流れ通りに並べられていて、
それぞれの話の繋がりがあるのが面白かったですね。
どの話も面白かったのですが、全部感想書くと長いので
特に印象的だった話だけピックアップしてさらっと書きます。

畠山義就は一代の傑物として書かれていますね。
何度も追い詰められながらも武力知略を尽くして立ち向かい、
幕府を敵に回しながらもついには討ち取られなかった英雄。
一時は天下人を目指してそこには届かなかったものの、
自分の国を築きそこそこ満足死ぬという生き方は憧れます。

大内義興の生き方もまた一つの理想でしたね。
天下人になれる器でありながら危ない賭けには出ず、
的確に状況に対応して京への執着もなく帰国する。
負け惜しみでなく本心から京より山口が好きと言えるのは
これもまた一つの強さなのではないかと感じました。

天文法華の乱を一般市民視線で描いていたのは新鮮。
戦への恐怖と高揚、損害と利益が混ざりあった結果、
制御不能な大乱に育っていくのは恐ろしいです。
民衆の生活が今より不安定だったからこそ、
戦の旨味に吸い寄せられる人間も多かったんでしょうね。

足利義輝は自分の立場に対して終始イライラしていたものの、
最後の最後で自分の本当の望みに気付いたのが良い。
建前をすべて捨てて最後に残ったのが
日本の頂点に立ちたいという願いだったのは
シンプルなだけに純粋さが感じられて爽快感がありました。