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2020/05/27

『人間に向いていない』黒澤いづみ 感想



引き篭もりが突然異形に変化する奇病が発生。
ただでさえお荷物だった家族が異形に変化したとき、
果たして周りの家族はどう対応するのか…。
そんな設定で現代の家族関係を掘り下げた作品ですね。

主人公となるのは、引き篭もりの息子が
人間と虫が混じった異形に変化してしまった母親。
法律的には異形となった時点で死亡扱いになるものの、
それでも諦められず一緒に生活しながら
様々な人物と関わることで、自分にとって
息子とは何なのか掘り下げて行く…という流れです。

異形となった息子をあっさり見捨てる父親。
娘が異形になってしまった若い母親。
そして異形の身内を持つ親たちの互助会。
このような異形への態度が違う人たちと交流させて
主人公の考えを深めていくという構成は分かりやすい。
異形となってしまった時点で死亡扱いなので
殺してしまっても無罪というのはシビアな設定ですが、
無罪でも子殺ししたという事実は消えないわけで、
そこら辺の苦悩はやはり人間らしさだなと。

ラストは母親の献身で子供が元に戻るわけですが、
その献身が出来ないような家庭は崩壊し続けており、
家族関係のままならなさを感じさせられる内容でした。

と最後まで読んで気付いたんですけど、
これメフィスト賞受賞作品だったんですね。
よくまとまった素人離れしてる作品だとは思いますが、
メフィスト賞にしては優等生的過ぎる印象で驚きました。