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2020/03/29

『大阪の陣』岡田秀文 感想

大坂の陣
大坂の陣
posted with amachazl at 2020.03.29
岡田 秀文
双葉社 (2019-06-19)
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タイトル通り、大阪の陣を題材にした物語。
大阪の陣については手垢のついた素材ではあるのですが、
家康視点をメインにしつつも他に多数の人物の視点を
挿入することによって、単調にならない構成になっています。

期間としては、関ケ原の合戦終了後から家康が死亡するまで。
この間の流れについては基本的に家康の計算通り。
大久保長安事件のような想定外のイベントはあったものの、
二度の大阪の陣から豊臣家の結末までについては
ほぼ完全に流れをコントロールしていたと言えます。
最後の真田幸村の突撃はちょっと危なかったものの、
裏工作で秀頼を出陣させないようにしたことによって
分厚い紙一重が生まれたことを考えると、
やはり全体として家康の掌の上だった感があります。

あと面白かったのは秀頼のキャラクター性ですね。
小さい頃から他人が何でもやってくれたせいで
他人に任せるのが当然になり、他人に任せろと言われると
鷹揚に頷くことしかできないというのは悲しい解釈。
そんな悲しい人生の中でただ一つ、華やかな死に対する
憧れだけが自分の中で育っていったというのは、
ただただ虚無という感じで見ていて哀れになります。
一軍の総大将としては迷惑極まりないですが。

他にも吉川広家や福島正則、片桐勝元に織田有楽斎、
その他にも大勢の小ネタが挟まり、短いながらも
それぞれの人生が描写されているので退屈しなかったです。
豊臣と徳川の決戦について基本的な流れを知っていても
改めて読みたいという人にはオススメの本かもしれません。