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2020/01/26

『天魔ゆく空』真保裕一 感想

天魔ゆく空
天魔ゆく空
posted with amazlet at 20.01.26
真保 裕一
講談社
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細川京兆家の全盛期を築いた細川政元の物語。

時代としては応仁の乱が終わり戦国時代に突入する、
ちょうどその狭間の物語ということになるでしょうか。
嘉吉の乱以降下がり続けていた将軍の権威に
止めを刺したのが細川政元なのかもしれませんね。

話の内容としては陰謀陰謀また陰謀という感じで、
この時代の権力闘争の複雑さが感じられる内容です。
権力を手放そうとしない将軍家とそれに取り入ろうとする
数々の勢力が絡み合って非常に複雑な状況になっています。

この本では政元の出自に重点を置いていて、
彼の疑り深さや繊細さ、嫁を持たない変人っぷりは
彼自身が父勝元の子でないと言われ続け、両親の仲違いを
近くで見てきたせいであるという説を取っています。
この設定自体は理解しやすく、政元の持つ思慮深さへの
説得力にもなっているのですが、最後まで過去を克服できず
暗殺されてしまったので後味はよろしくない。

終盤の家臣に背かれる流れや養子を3人迎えた辺りの
説得力も薄めで、特に養子たちの各勢力に対して
ほとんど放置したまま手を打たなかったのは解せない。
優秀な者が自然に勝つという考えだったにしても
流石にこれだけ放置し続けたのは少し引っかかりました。

終盤の流れはしっくり来なかったものの、
なかなか題材にされない時代の話なので面白かったです。
この時代の話ももっと増えて欲しいですね。