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2019/09/24

『城をひとつ』伊東潤 感想

城をひとつ
城をひとつ
posted with amazlet at 19.09.23
伊東 潤
新潮社
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戦国時代、北条氏に仕えた大藤氏の物語。

物語は大藤信基が紀州から関東に下向し
北条の2代目、氏綱に仕えるところから始まって、
その後、数代に渡って北条氏に仕え続け、
北条氏の滅亡するまでを短編形式で描いていきます。

今回特徴的だったのは大藤氏の特技が
敵陣営に潜入して誤情報を流すスパイ工作である点。
相手の性格を読み、おだてたり警告したりしながら
信頼を勝ち取って最後の最後で自滅させる手法は、
汚いと思いつつも爽快さも感じてしまいます。

基本的に相手は自分の愚かさ故に騙されるのですが、
足利義明や福島正則といった豪傑肌な人物に対しては
その一本気な気質に個人的には敬意を払いつつも
北条家のために騙すという形になっているので、
騙すという行為の汚さは幾らか薄れていましたね。

基本的戦略が騙し討ちという点に加えて、
民衆のためという大義を掲げた北条が滅びるという、
一歩間違えれば暗くなりそうな内容でしたけど、
それを一つの時代が終わり新しい時代が始まるという
前向きな方向に受け取らせるのは流石の上手さでした。

しっかし伊東作品の上杉家は
相変わらずいいところが少ないですねぇ。