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2019/07/31

『遺訓』 佐藤賢一

遺訓
遺訓
posted with amazlet at 19.07.31
佐藤 賢一
新潮社
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新選組組長として名高い沖田総司…が主人公ではなく、
その甥である沖田芳次郎から見た西南戦争の物語。

物語は基本的に芳次郎の視点で進むのですが、
そこで大きな役割を果たすのが
酒井玄蕃、西郷隆盛、大久保利通の3人。
芳次郎の尊敬する対象である酒井玄蕃、西郷隆盛は
能力、人格ともに優れた人物として描かれていますが、
大久保利通の方は徹底的に悪役として描かれています。
ここまで容赦なく悪役扱いされてる大久保さんも珍しい。

酒井玄蕃については微妙にマイナーな人物ですけど、
以前家老列伝で読んで気に入った人物なので
この人に焦点を当ててくれたのは嬉しかったり。
そんな酒井と維新の大物である西郷が協力し、
外敵に負けない国を作ろうとする流れは夢があります。

しかしそんな彼らの才覚に嫉妬し、
自分の権力を守るためだけに謀略を仕掛けるのが大久保。
酒井を毒殺し、薩摩武士を暴発させ西郷も滅ぼす。
いやー、ほんとどうしようもない悪人です。
だからこそ最後に芳次郎に暗殺されるのですが、
悪人過ぎて暗殺されても爽快なのが面白かったです。

大久保利通好きにはお勧めできませんが、
明治政府黎明期の権力闘争が題材の作品は珍しいですし、
中国や庄内、薩摩と大きく舞台が変わることもあって
一大エンタメとして楽しむことが出来ました。
佐藤さんの幕末物は主人公のチョイスが面白いですね。