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2019/05/31

『家康の遠き道』岩井三四二 感想

家康の遠き道
家康の遠き道
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岩井 三四二
光文社
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タイトル通り徳川家康の物語なのですが、
この本の面白いところはその期間。
関ケ原の合戦後から家康が死ぬまでの短い期間を
一冊の本として書いているのは珍しいですね。

この本の家康は、後書きにもあるように作者が家康を
サイコパスとして描こうとしていることもあって
なかなか恐ろしい性格をしています。
決して過度に冷たいというわけではないのですし、
豊臣家にしても臣下の礼を取るなら残してやろうという
甘さもあるのですが、一度滅ぼすと決めると迷わない。
この決断力のおかげで天下を取れたという解釈です。

期間が期間だけに岡本大八事件や大久保長安事件といった
内政方面での事件も扱っているのも珍しい。
これら2つの事件の描写も面白くて、
大八事件は諸外国との付き合いを考えたうえで、
長安事件は長安が役に立つかどうか考えたうえで
判断を下していて、事件の当事者たちの事情なんて
欠片も気にしていないところがこれまた怖かったです。

あと、家康が死後に東照大権現になった裏にある
心理に触れられてるのも新鮮でしたね。
秀吉の死後の状況を見て自分の死後について考えたり、
宗教家たちを呼んで神について研究したりと、
こういう点について書かれた小説はちょっと珍しいかも。

これまでも家康の物語は色々と読んでいますが、
まだまだ面白い切り口があると実感する作品でした。