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2019/03/27

『大友の聖将』赤神諒 感想

大友の聖将
大友の聖将
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赤神諒
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斜陽の大友家を支えた武将・柴田礼能、
またの名を天徳寺リイノの物語。

戦国時代の九州の流れはだいたい把握していたのですが、
立花道雪、高橋紹運あたりならともかく
流石にこの天徳寺リイノという人物については初耳でした。

本作2部構成となっていて、前半ではリイノが
他人を疑い憎むことばかりしていた時代が描かれています
前半のリイノも決して悪人というわけではないのですが、
逆境に陥ると自分に味方してくれる人々のことまで
疑い出してしまうという、人間らしい弱さがあります。
そんなリイノが立花道雪や武宮武蔵といった人間の
無償の優しさに触れて変わっていくところは
人間の可能性というものを感じさせてくれました。

そして後半では立場が逆転するところが面白い。
優柔不断で他人を信用し切れない大友宗麟には
迷いを捨てたリイノの姿があまりにも眩しく映る。
それ故にリイノに対して嫉妬や恨みを持つものの、
リイノのひたむきな忠誠によって少しずつ変わっていく…
と言いたいところですが、変わるのが少し遅かった。
もう少し宗麟の見せ場があれば爽快だったでしょうけど、
変わるまでのダメダメ期間が長過ぎたせいで
リイノの報われなさばかり目立ってしまった感が。
リイノが旧知の武宮と協力して島津を撃退する場面は
熱かっただけに、もう一押し欲しかったところです。

とはいえ、資料の少なそうな柴田礼能という人物を
キリシタンという面から掘り下げて
一人の人間として構築したのはお見事ですね。
この作者さん、つい最近デビューしたばかりですが、
かなりハイペースで作品を出しているので
他の作品も読んでみたいと思いました。