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2019/02/28

『安土唐獅子画狂伝 狩野永徳』谷津矢車 感想

安土唐獅子画狂伝 狩野永徳 (文芸書)
谷津 矢車
徳間書店
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戦国時代の画人、狩野永徳の物語。
一応続き物の2作目に当たりで、前作は足利義輝、
今作は織田信長との関係を描いているのですが、
今作から読んでも普通に楽しめると思います。
というか私も前作を読んでいないのですが楽しめました。

事実上の天下人となった織田信長と、
最高の画人を目指す狩野永徳のやり取りは
ジャンルこそ違えど真剣勝負という感じがあります。
他にも茶の湯を芸術へと昇華させようとする千利休や
天下人を目指して反逆する松永弾正、
後に画人としてライバルとなる長谷川等伯など、
頂点を目指す人間たちが共演しているのは熱いですね。
どいつもこいつもプライドが高過ぎる。

現存しない安土城の唐獅子図への意味の持たせ方も面白い。
妻を失った故にかつて感じていた妻の優しさが絵に宿り、
そこが現存する唐獅子図との違いになっているというのは
いかにも小説的な創作ですが、良い創作だと思います。

家族よりも絵を取るというのは人としてダメな部類ですが、
たった一人で画人の頂点に立ち続けるには
家族もライバルも眼中にないぐらいでいいのかも。
単なる絵の話だけにとどまらず、日本一になるというのは
どういうことかを考えさせられる作品でした。