FC2ブログ
2018/10/17

『日本核武装』高嶋哲夫 感想

日本核武装
日本核武装
posted with amazlet at 18.10.16
高嶋 哲夫
幻冬舎 (2016-09-23)
売り上げランキング: 278,424

タイトル通り、日本が核武装するべきか、
非核を貫くべきかをテーマとしたサスペンス小説。
この手の作品は非核の結論ありきなものが多いですが、
この作品は核武装のメリットデメリットについて
より掘り下げて書いてあるように感じました。

物語は、被爆3世であり防衛省の分析官でもある主人公が
日本で核兵器を作る計画が進行していることを知らされ
その調査を任されるところから始まります。
最初は地味な調査パートが多いですし
計画の真相を暴いて終わりなのかと思っていたのですが、
中盤で中国の尖閣進出により自衛官が死亡したことで
物語の緊張感は一気に高まります。
後半は常に戦争一歩手前という緊張感が半端なくて
夢中になって最後まで読んでしまいました。

日本の上層部は戦争を回避しようと足掻くものの、
いざとなれば核兵器を使う覚悟を決めた中国と
専守防衛に徹する日本では立場の強さが違い過ぎる。
自分が交渉する立場だったと考えてみても
最終兵器を持っているだけで強気に出られますからね。
もちろん核を使用すれば他国から非難されるでしょうが、
日本が焼け野原になった後に非難されても
日本にとっては何の意味もないですからね。

日本だけでなく東南アジア諸国との関係に
触れていたのも面白かったです。
実際、日本がいくら戦争する気がなくても
南下する中国とアジア諸国がぶつかる可能性もあり、
そうなったときに知らぬ存ぜぬが通用するものか。
単純に戦争反対を叫ぶだけでなく、
もっと議論が盛んになってもいいような気もします。

まず核兵器を持たないという理想を基本としつつ、
現実として国家間での激突が起きた際にどうなるのか、
そこで核兵器の有無がどう影響してくるのか、
ということを改めて考えさせてくれる作品でした。