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2018/10/27

『ゼロの激震』安生正 感想

ゼロの激震 (『このミス』大賞シリーズ)
安生 正
宝島社
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東京壊滅をテーマにした災害小説。

地震によって東京が壊滅する小説は数多くありますが、
この小説の設定は東京でカルデラ噴火が起こるというもの。
東京全体が吹き飛ぶというのは思い切った設定ですが、
それだけにワクワクさせられたのもまた確かです。
物語中盤で出てくる、関東平野が宇宙までぶっ飛んで
第二の衛星になるという説は荒唐無稽であるものの、
読者へのインパクトとしては申し分ないでしょう。

仕掛けが大きいだけに説明文は多めですが、
東京の地下にマグマ溜まりを発生させるために
必要な要素の複雑さを考えると仕方ないか。
マグマって元々ああいうものかと思っていたのですが、
減圧融解や加水融解で岩が溶けてできるというのは
この小説を読んで初めて知りました。

説明が多いとはいえ、ちょうどダレ始めたころに
派手な事件が発生するので退屈はしなかったです。
新宿噴火なんて普通の小説ならクライマックス相当ですが、
この本では中盤の山場でしかないですからね。

ただ、市民革命もどきのシーンは余計だったかな。
主人公の木龍は自分のトラウマ解消で手一杯で、
結果的にその親友である香月の描写は薄くなってしまい
勝手に暴走して勝手に死んだ印象が強かったです。
東京カルデア噴火ネタだけでも十分面白い作品なので
災害対策だけに的を絞っても良かったのではないかと。

などと細かいところで引っかかりはしたものの、
壮大なネタを武器に最後まで突っ走ってくれる作品でした。
結末も自然の凄まじい力と、それに対して最後まで抗った
人間の誇りが感じられて良い落とし所だと思います。