2017/09/29

『バイバイ、ブラックバード』伊坂幸太郎 感想

バイバイ、ブラックバード (双葉文庫)
伊坂 幸太郎
双葉社 (2013-03-14)
売り上げランキング: 35,863

5股をかけていた男主人公がドナドナされる前に
5人の女性に別れを告げに行く物語。

5股というとどんなクズ男やねんって感じですが、
いざ読んでみるとこの男、それほど悪くはない人間でした。
もちろん5股をかけるという行為自体はクズですが、
これはそれぞれの女性を元気付けた結果なので、
むしろいいことをしたのではと思えてくるのが不思議。
そう思わせるところがこの男の性質の悪さでもあるのですが。

ハーレム物の主人公の長所で「優しいところ」を
挙げられる展開というものがありますが、
そういう部分を突き詰めて行ったのがこの男なのかも。
ただ、行き当たりばったりの優しさを突き詰めて
5人と付き合うところまで行ったこの男の場合、
最終的に1人を選んでしまうハーレム主人公よりは
一本筋が通っているといってもいいのかもしれません。

5人の女性のバラエティ豊かさもギャルゲちっくですね。
普通、子持ち、怪盗、薄幸、女優と、
微妙にありえそうな女性からまずありえない女性まで
個性豊かで毎回新鮮な気持ちで読むことが出来ました。
基本的にどの女性もいい人ばかりなのですが、
怪盗の人は行動が突飛過ぎて付き合うと疲れそうですね。
個人的には気丈な子持ち女性と、飄々としている女優が好き。

最後の6番目の物語のヒロインが
最初から主人公の隣にいた繭美というのもギャルゲちっく。
怪獣みたいな外見の暴力女が真のヒロインというのは
ギャルゲとしては尖り過ぎですけど、
傍若無人だった彼女が最後にデレる展開は胸に来ました。

最後は主人公が助かったのか分からない感じで終わりますが、
この男、いい奴とはいえ5股野郎には違いないので
助かって欲しい気持ち半分、助かって欲しくない気持ち半分…
なので主人公の行く末をぼかしたのは正解かもしれませんね。