2017/04/06

『メガバンク絶滅戦争』波多野聖 感想

メガバンク絶滅戦争
メガバンク絶滅戦争
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波多野 聖
新潮社
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メガバンクが大量の国債を購入した直後に利回りが急上昇。
それに伴って国債の価値が暴落し、破産の危機に陥った
メガバンクを巡って様々な勢力が暗闘を繰り広げる経済小説。

舞台になっている銀行のモチーフは三菱東京UFJでしょうか。
行内最大勢力である三菱閥が結構酷い扱いですが、
財閥系企業は動きが鈍い割にはプライドが高いという
よろしくないイメージがあるのも確かです。
合併ネタだと大抵は強い側が弱い側に対して
陰険な嫌がらせをしていますけど、実際はどうなんだろう。
さすがに本書のように名前を三菱銀行にしろみたいな
無茶で愚かな要望は出さないとは思いますが…。

体力が落ちた銀行を狙って個人投資家やファンドが
動き出すというのも経済小説ではお約束ですが、
今作では人間関係によって買収を回避するのがポイント。
過去の因縁がピンポイントで敵対組織のキーマンに繋がって
裏切りを誘発してくれたおかげで勝てるというのは、
ちょっとご都合主義過ぎるようにも見えます。
とはいえ、そうでもしないと敵側に隙がないですし、
お金だけでなく人間関係で決着が付くというのは
経済小説としては綺麗に終わっているようにも思えます。

でも主人公の扱いはふわっとした感じでしたね。
中間管理職で気弱ながらも決めるときは決める男ですが、
個人的にはこの主人公のプライベートは余分に感じました。
過去の恋とか嫁関連とかいまいち興味が持てなかった。
これなら主人公より上司である桂さんに重点を置いた方が
経済戦争を描写するという点では腰が座ったかも

そんな感じで割と引っかかる場面も多いのですが、
二転三転する国家規模の話は面白かったですし、
経済ネタも小説として分かりやすく読める作品でした。